「合格がゴールじゃない」——深海魚を生む受験と、自走できる子を育てる受験の決定的な違い
「合格がゴールじゃない」——深海魚を生む受験と、自走できる子を育てる受験の決定的な違い
■ 深海魚はなぜ生まれるのか
中高一貫校に入ったのに、入学後ずっと成績が下の方で低迷して、「憧れの学校に行ったのに、そのどん底で終わっちゃったな」という後悔を抱えてしまう子のことを「深海魚」と言うんですけど、これって実は少なくないんですよね。
私は20年以上塾をやっていて、中学受験からその後の大学受験まで見てきているんですけど、深海魚を生み出す一番の原因って「受験期の過ごし方」にあると思っていて。
広島のある塾の話をすると、そこって合格実績がすごくいいんですよ。毎日生徒を呼びつけて、先生が個々の性格まで見抜いて徹底管理する、鬼のように面倒見がいい塾なんですけど、そこの出身の子に限って、中学入学後に深海魚になるケースが目立つんですよね。なんでだと思いますか?
■「自走できない子」の構造的な問題
答えは単純で、「言われたからやる」という構造の中で受験期を過ごすと、自分で自分の勉強をオーガナイズする力が育たないんです。「今の自分に何が足りないのか」「そのために何をすればいいのか」を自分で考える機能が、身についていないまま中学に上がっちゃうんですよね。で、中学に入って管理してくれる存在が消えた瞬間に、どう動けばいいかわからなくなってしまう、と。
これって、東京の中学受験でもよくある「親主導の受験」にも同じことが言えると思っていて。親が計画を立てて、親が尻を叩いて、親がコントロールして合格した子も、入学後に同じ落とし穴にはまりやすいんですよ。自走モードって0か100で考えがちなんですけど、要は「濃度」の問題なんですよね。7割は自分で考えて、3割だけサポートを受けている子と、9割親任せの子とでは、入学後の伸びが根本から違ってくるわけです。
■ 燃え尽き症候群という落とし穴
もう一つの原因が「燃え尽き症候群」みたいなものだと思っていて。睡眠を削って、遊びもゼロにして受験を乗り越えた子って、入学後にその反動が来るんですよ。ダイエットでも、きついダイエットをした人ってリバウンドするじゃないですか。あれと一緒で、極限まで追い込まれた心って「もう受験頑張ったんだから遊んでいいだろう」と揺り戻しを起こすんです。心にもヒットポイントがあって、それをすり減らしすぎると、いざというときに「さあ頑張ろう」という気力が出てこないんですよね。
■ 深海魚にならないための具体的な対策
じゃあどうすればいいかというと、まず受験期から「自分でプランを立てさせる」習慣をつけることが大事で。多少失敗しそうなプランでも、あえてやらせてみて、失敗から学ばせるぐらいの余裕が親には必要なんですよね。それと、週1回でも好きな習い事や本を読む時間を確保して、心の疲労を溜めないようにする工夫も欠かせないと思います。
入学後については、最初の中間試験が勝負で、「6〜7割はここで決まる」とも言われているぐらいなんですよ。受験期にどれだけ親が伴走していたとしても、この最初の定期試験だけはゴリゴリにサポートして好成績を取らせると、その後は自分で勉強するサイクルが生まれてくるんで。
結局、合格はゴールじゃなくてスタートなんですよね。「何が何でも御三家」と燃え尽きて入るよりも、少し余裕を持ちながら自走する力を育てて入学した方が、6年後・10年後の結果は大きく変わってくると思います。中学受験のスタンスそのものが、その子の未来を左右するというのが、今日一番伝えたいことです。
hamasakiacademy1
