先生目線の合格体験記:比治山女子中、安田女子中、広島なぎさ中 合格 N・Nさん

N.Nさんの先生目線の合格体験記

 

浜崎アカデミー講師

重信 圭祐

 

N.Nさんとの出会い

 

2023年11月、私は医学科4年の山場であるCBT試験を終え、浜崎アカデミーでの定期授業を再開するタイミングで初めてN.Nさんの授業を担当しました。小学6年生ながら入塾まもない、いわば「駆け込み」の生徒さんでした。安田女子中が第一志望ということで、直前なのもあって張り切って指導を始めました。N.Nさんは広島在住ですが、普段は私の授業を受けてくれたためOL授業を主としていました。

 

「ま、まずは小6レベルに乗せよう・・・」

初めて授業をしたときに感じたのは、「思考の不足」でした。算数の問題で、小45年くらいの難易度のところで思考が停止してしまっていたのです。これには様々な原因が考えられますが、私の経験値としては「考えて解く習慣が身に付いていなかった」ことを意味する場合が多いです。

小学5年以前であれば指導側としてはまだ道筋がつけやすいのですが、小学6年生秋でこの状況となると戦慄が走ります。と言いますのも、受験だけでなく中学以降のことを考えても、「思考習慣」が十分でないことは危機的だからです。

 

世の中にはとにかく暗記でも何でも正解できればいいと考える方もいますがそれは大きな間違いで、中学校以降の数学や物理など、過程ごとの原理理解が大切な科目で確実に置いてけぼりになり、本来なら出来るレベルの問題も出来なくなってしまうのです。N.Nさんはそうなり得る危険性を肌で感じたため、「思考習慣」を本来の地頭に見合った実力相当、もしくは小6受験生並みに上げることを喫緊の課題として裏で設定していました。

また全体的に勉強がマイペースでゆっくり目だったため、気を引き締めることも兼ねて若干厳しめのスケジュール決定をし、ペース管理を行いました。

 

「生かされた授業スタイル」

実は私の授業の特徴として「教えない指導」というものがあリます。対極的に聞こえるワードですが、言われてみれば確かに普段の私の授業ではこれらを意識して授業していました。

 

「教えない指導」・・・!?

この体験記の中で1番意味がわからないフレーズかもしれませんが、これはすごく重要な内容です。この「教えない」というのは怠惰ではなく、生徒から質問を受けた時にあまりヒントを出さず、「この状況で何かできることはない?」などとさらなる思考や気づきを促すものです。

一般的に「授業」は「授ける業」と書くように、何かを教授/伝授するものでしょう。それゆえ、わからない箇所はせっせと解説されて然るべきという印象を持たれる方も多いですし、塾業界でも「説明力が全てだ!」という見方があります。確かにそれは嘘ではありません。

しかし私は、「解き方を教える」ことよりも「解き方を考える方法を教える」ことを常に心がけています。なぜなら、入試問題を解く受験生が試験問題を見て初めてすることは、「教わった解き方を思い出す」ことではなく「問題を見て解き方を考える」ことだからです。

 

実際に問題を見て、条件や数値を読み取り、何を計算しようとするのかを考える過程に習熟すれば、解き方は自分で考えて決められるようになりますし、変わった問題や応用問題にも難なく対応する力が身につきます。これは複雑多様化する中学入試、中学以降の数学において必要な力ですし、勉強もワンパターンになりません。基礎壊滅でも灘中A判定でも、中学入試から医学部受験に至るまで、幅広く普遍的に使える指導法なのです。

ちなみにこの指導法の詳細は既に塾内研修で採用頂いており、他の先生方にも浸透しつつあることをお伝えしておきます。

 

そんな指導を進めていった結果、授業中のリアクションも「もう何も分からないよ」みたいな感じから「何か考えられるかも」といったふうに変わっていきました。「思考の不足」という私の読みが的中です。厳しめに定めたプランもなんとか遂行してくれましたし、年末年始も授業を設定して頑張ってくれて、他の受験生に追いついてきた感じを受けたところで入試本番を迎えました。

 

「終わりに」

結果として比治山女子中学、安田女子中、広島なぎさ中に合格となり、第一志望校に合格してもらえてホッとしています。11月末からの頑張りは凄まじく、本当によく勉強してくれたのだろうと思います。ご本人もご家族の方も受験生活お疲れ様でした。楽しい志望校生活を満喫してくださいね!

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