K.T君の先生目線の合格体験記
K.T君との出会い
彼との初めての出会いは2021年9月にまで遡ります。
濱崎塾長曰く北海道大学志望・数学の実力がある高校2年生の生徒とのことでワクワクして最初の授業に臨んだあの日は忘れられません。
浜崎アカデミーの個別授業で数学を教える時は、生徒から「この問題が分からないので解き方を教えて欲しい」という疑問をもらってから始めることが多いのですが、彼の場合は、「この問題は正解出来たけど、模範解答と違う自分のやり方は数学的に正しいのか教えて欲しい」みたいな、他の生徒とは異次元の質問を連発され驚きました。
普通だと正解出来ている時点で質問しようとは思わない人も多いかと思いますが、そこに自己分析を入れて疑問を生み出してくるという、高校2年生とは思えない数学力・思考を目の当たりにし、自身が医学部受験で培った力を総動員しなければ「T君の先生」は務まらないなと危機感すら覚えたのが懐かしいです。
OLでも中身の詰まった授業
私が山口にいるため普段の授業はほぼオンラインで、数学、化学を主にみていました。
彼はやる気に満ちた生徒で志望動機も努力習慣も申し分なく、講師側としても教えやすかったです。
彼の得意科目である数学ではハイレベルな問題ばかり質問され、自分の持てるものをフルに使って中身の詰まった授業をするのが楽しかったです。
一方で彼の苦手だった化学では基本から応用まで幅広く教えていました。
苦手と聞いていたためについついお節介もしたもので、彼から受けた質問に関連した別の内容もついでにチェックしたり、暗記のペースが遅いなと思った時には「もう本番までこの分野に触れることはないよ」などと言って暗記を急かしたりもしました。
コーチングプランの発祥
しかし彼の受験には上記の授業内容だけでなく「コーチングシステム」も大きく貢献したと思っています。
彼は特筆すべきことに、他塾に一切通わず当塾だけで大学受験に挑んでくれたのですが、これは大手塾併用の生徒さんとは違い当塾だけで大学受験まで全ての面倒を見ないといけないことを意味します。
全ての面倒と言うとただ全教科を教えるに留まらず、大手塾では一般的な勉強以外のサポート(ex:面談による悩み相談、生徒の成績や入試問題の解析…)も含めた、受験に勝つために必須な全てのサービスを用意しなければなりません。
これを察した私は当時の浜崎アカデミーのシステムに不十分さを感じ、彼が新高3になる段階で、現在ご好評頂いている「コーチングシステム」の原型を思いつきました。
数々の要衝を越える毎に自分なりに適切なアドバイスが出来たのは、ここでコーチングの発想があったからこそなのかなと、今になって思っています。
コーチングの方針
その「コーチングシステム」をどう活かすかも重要なポイントでした。
T君は明確な志望動機のもと、「あとは目標に向かって勉強するのみ」と継続的に勉強出来ている状態でした。
この状態の彼を見て私は、「彼の現役合格の鍵は勉強量の増加や学習時間の伸長にあるのではなく、彼の精神的エネルギーや体力、感情までもを受験勉強に向けて最適化することにある」と察しました。
なので自らが医学部受験生時代に自身を追い込み、また他を圧倒するために作った「自分の上に自分を作る」という理論を、コーチングβのサービスの中で彼にフィットする形で提供することを意識しました。
コーチング発案者の意地:独自の受験生心理論を発動
ここで、「自分の上に自分を作る」とは何かをざっと説明しますと、自分の思考、感情、その他頭の中の諸々を「受験生としての素の自分(実働部隊)」「それを管理する自分(制御部隊)」に分けて、場面場面においてこれらを頭の中で使い分けることです。
「素の自分」と「管理する自分」?
「素の自分」に分類されるのは、数学であれば数学的思考、計算力、読解力といった、勉強中に実際に動作している内容です。
そしてその他の数多の物のうち、志望動機や危機感など、勉強の理由になる感情や思考を「管理する自分」として、「素の自分」の上に指揮系統として置くイメージを持ち、「素の自分」の様子を常にモニタリングする習慣をつけます。
例えば「素の自分」は今集中して勉強しているか、「素の自分」が誘惑に邪魔されていないか、「素の自分」が疲れないためにどのタイミングで科目を変えるべきか、みたいなことを考えながら毎日を過ごす訳です。
これにより「素の自分」を管理すると機能不全になりづらくなり、1日を通して最適な受験勉強生活を送れるだろうというのが私の理論です。
ちなみにこれが良い意味で暴走するといかなる事が起こっても勉強に回帰出来るようになり、「生理的空腹(栄養を摂らなければならない空腹)」と「勉強から逃げたい欲を反映した偽の空腹」を区別して間食抜きで無限に勉強することすら可能になります(自己体験談)。
コーチングの内容は?
精神面まで突っ込んだコーチングを始めたT君でしたが、その「突っ込み方」を少しでも誤れば重大な悪影響が出るので、常に最高レベルの注意を払いました。
コーチングを通してT君本人が勉強面、精神面、体力面、環境面全てにおいてベストな状態をキープしてもらうことを目指し、前述の「理論」とは別に以下のような内容も提供しました。
Ⅰ. 模試の成績や勉強の進捗、今の精神状態を推測or把握すること
Ⅱ. 講師の知識+ⅠによってT君の精神的・体力的コンディション変遷を予測し、理想のパフォーマンス追及のために勉強量や追い込み度合いの調整を行うこと
Ⅲ. Ⅰ・Ⅱを元にT君本人・保護者と共に勉強計画を立て、計画の決定課程から計画遂行のためのアドバイスまで全てを共有すること
Ⅰではコーチングの根幹となる「生徒の現状把握」を行った訳ですが、OL授業中の集中度、雑談、雰囲気を感じ取り、勉強面だけでなく疲労やモチベーションなど精神面の変化も見ていました。
模試を終えた次のOL授業で彼の焦った顔を見たことが何度あったことか…でもそうした変化を感じ取り、原因に対処していくことはとても重要だと思っています。
私が1番得意とするⅡでは自らが医学部受験の際に身をもって学んだ「受験生の心理」や受験における知識などを総動員しました。
受験生活もただガムシャラにやるだけだと何か壁にぶち当たった時に滅入ってしまったり、ダラダラして本来のポテンシャルが引き出せなかったりと上手くいかないことが多いので、それを避けるのが目的です。
なので受験生のメンタルを先読みし、ⅢでそれをT君と共有しつつそれを見越した一歩上の計画を作成することを心がけました。
「メンタルを先読みし彼と共有する」というのは時々予言者みたいなことを言っていたこともありましたが、きちんとデータや過去の経験に基づいているのでどれも当たるものでして(笑)。
彼もYouTubeで話してくれたように、少し先の自分を知ることで受験生活での不安を最小限に抑えられたようなので、メンタル予言も「抗不安薬」としてうまく働いたみたいでホッとしています。
数々の壁を乗り越える
そんなこんなで勉強そのものだけでなく精神面も大きく調子を崩すことなく順調に勉強を続けてくれたT君ですが、その努力が結果に反映されるまでの道のりは平坦ではありませんでした。
模試では時間配分を間違えて大問が一つ解けなかったり、些細な計算ミスを連発したりと、彼が十分な実力を持っていた数学ですら色々ありました。
しかしそんな時もT君の「自分の上の自分」がうまく働いたおかげで彼は「失敗を改善すること」のみに集中でき、常に前を向き続けてくれたように思います。
コーチングをする側の私も、私が教えた理論により彼が全自動で自分のメンタルを理想的な方向に修正してくれるようになったので、秋以降は割と見守るだけでその点は楽をさせてもらいました。
努力が生きた本番
そうしてコーチングと週1~3回のOL授業を中心に対策を進めた結果、受験間近ともなれば成績は指数関数的に伸びるようになり、共通テストでは彼の自己ベストを出すことができました。
ボーダーに届いていなかった第一志望の北海道大学前期日程にこそ受からなかったものの、後期に向けてそれまでの勢いのままに生物の勉強に取り組んだ結果、十数倍の倍率を勝ち抜いて宮崎大学農学部 海洋生物環境学科に合格、また名城大学も合格ということでこれまでの成果が出たのかなと安堵しています。
最後になりますが、コーチングシステムを作成し速攻で採用していただいた浜崎亨塾長・講師の先生方のご協力に感謝の意をお伝えすると同時に、K.T君の合格を心よりお祝い致します。宮崎での新生活も楽しんで下さい!