公立中高一貫の「適性検査」は“積み上げ”が効きにくい ── その2周、安心していい?
皆さんこんにちは、広島で個別指導塾をやっている なるちゃん です。
今日は、公立中高一貫校(適性検査型)を目指す小6のご家庭からの相談に答えます。「夏期講習についていくだけで精一杯。親としては問題集を2周して完璧にするのを目標にしているけれど、塾からは銀本、集中特訓と言われ、学校の宿題もあって、全部が中途半端になるのが怖い。この夏、絶対に成績を上げたい」——すごくよく分かる悩みです。
まず、少し身も蓋もない話から。適性検査は、僕は“地頭が問われる面が大きい”試験だと感じています。断定はしませんが、理由はこう。公立の中高一貫校には、塾にたくさん課金して習った子が有利になりすぎないように、という思想があるように思うんです。だから、パターンをたくさん覚えた子が有利にならないよう、できるだけ初見で、その場で考えさせる問題を出してくる。
私立の4教科型と比べると分かりやすい。私立の算数は、つるかめ算や時計算のように“パターン”があって、こう来たらこう解く、と技を増やす勝負です。だから問題集を2周3周して、できなかった問題を全部解けるようにするのは、すごく有効(丸暗記ではなく「なぜこうなるか」を理解する前提で)。難関校は「見たこともない問題」を出しますが、その多くは“知っているものをどう組み合わせるか”。実は東大の数学でさえそうです。ところが適性検査は、この“手札の多さ”で殴れないように作られている。だから「2周して完璧にしたから大丈夫」と安心してしまうのは危険。やらないよりやった方がいいけれど、それだけで守り切れる試験ではない、というのが僕の感覚です。
しかも適性検査には型があります。理数系中心、国語・社会中心の文系型、作文(意見を200字で等)を書かせる型。受検校がどの型かで、やるべきことは変わります。まずは過去問で型を確認してください。得意・不得意の組み合わせでも作戦は変わる。算数は得意だけど書くのが苦手、という子なら、点を取り切るカギは実は“書く力”にあったりします。
少し残酷な言い方をすると、適性検査は、ほとんど対策していない地頭のいい子がバーンと受かることもあれば、何年も塾で頑張っても地頭が合わないと届かないこともある。そういう厳しさもある試験です。ただ、何もできないわけではありません。ポテンシャルが100の子と50の子がいて、天井自体は簡単に変わらないけれど、50の子も65くらいには、100の子も130くらいには“引き出せる”。50のまま行くより、65に仕上げて臨んだ方がいいに決まっています。やる意味は十分あります。
では、親御さんの「2周して完璧に」は間違いか。いいえ、やること自体は悪くない。基礎の抜けを埋める意味はあります。問題は二つ。それをゴールにして安心してしまうことと、銀本・集中特訓・宿題まで全部抱えて、いちばん効く一手に時間を割けなくなること。「全部が中途半端になるのが怖い」という感覚は、むしろ正しいセンサーです。あれもこれもと抱えると、どれも“やった”だけで点数に変わらない。夏にやるべきは、量を増やすことより、効くものを見極めて残りを潔く手放すこと。塾のオプションが本当にお子さんに合っているかは、一度立ち止まって考える価値があります(良かれと勧めてくれてはいるはずですが、全員に必要とは限りません)。
じゃあ、限られた夏に何を伸ばすか。僕が「いちばん変えられる」と思うのは国語、とくに記述・言語化の力です。20年教えてきた実感として、ほとんどの子は自分のポテンシャルの2割ほどしか使えていない。そこを6〜7割まで引き上げるだけで、まわりからは“爆伸び”に見える。適性検査は、算数が分かっているだけでは評価されません。「考える力」+「それを説明する(言語化する)力」の勝負です。
言語化の練習は、特別な教材がなくても始められます。ニュースでも塾のテキストの一節でもいい。「要するにどういうこと?」「自分はどう思う? それはなぜ?」を、口で言うだけでなく“書く”。最初は一言でいい。書いたら、どこが伝わらないかを一緒に直していく。これを繰り返すと、頭の中のモヤモヤを言葉に変える回路ができてきます。適性検査は、まさにこの回路を見ている試験です。
もう一つの穴場が社会。ただし単純知識(何年に何が起きた等)はほぼ出ません。代わりに、社会課題や時事のテーマについて資料を読ませ、自分の論点・意見を書かせる。「温暖化にどう取り組むか」「AIが広がる中でこれからどうなるか」——重要なトピックは、無限にあるようで実は有限です。おすすめは、サピックスや四谷大塚などの“時事問題の解説本”を、去年版でいいので手に入れること。大事なのは覚えることではなく「語れるようになる」こと。背景知識があるほど強く、たとえば中東情勢のように宗教や民族の背景まで知っていれば論点をいくらでも展開できる。20〜30テーマぶんやると国語力そのものが上がり、仮に受検がうまくいかなくても、大学受験の小論文でそのまま武器になります。
ちなみに、国語の記述と適性検査の記述は、本質的に同じもの。本当に考えて言語化する練習を積んだ子は、両方書けます。「国語の40字はできるが適性検査は書けない」は、まだ本物の記述力が身についていないサイン。ただし社会だけは、背景知識がないと語れないので、そこは別途インプットが要ります。
夏〜秋の相談、受け付けています。コメントや公式LINEで相談してくれたら、個別にアドバイスします。「キジュツバ」会員には、月1回、作文・文章の添削フィードバックの特典があり、国語の記述力は4教科型にも適性検査型にも効きます。文章の添削だけなら、STORESで作文フィードバックのメニューを販売中です(自分で調べて書いた文章を送ってもらえれば、言語化のための指示を返します。※問題文を読む必要があるもの=“解いて教えて”は授業扱いになるので、作文指導のメニューでは扱えません)。僕の授業は、塾生になって最低月3回うちの講師の指導を受けてもらえれば、最低月1回受けられ、空き枠の募集にはまれば月2〜3回も可能。うちの講師も僕のエッセンスを入れて指導していて、そこに月1回、僕のフィードバックが乗る——料理でいう“総料理長”のような形です。
夏は、全部を中途半端に抱えるより「いちばん効く一手」に絞る。適性検査なら、それは言語化と社会だと僕は思っています。一緒にやっていきましょう。
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