ガンプラも作れない小5——東京の中学受験「やりすぎ」が子供の未来を壊す

ガンプラも作れない小5——東京の中学受験「やりすぎ」が子供の未来を壊す


■ 国語が伸びないのに、なぜ塾の課題に縛られるのか

広島で塾をやりながらオンラインで東京の中学受験生も教えていて、桜蔭・栄光・開成・渋幕クラスの子も見ているんですけど、最近ちょっとイラつくことがあって。正直に言わせてもらいます。

私のところに来る人って、当たり前ですけど「国語が得意でしょうがない」という人が来るはずないんですよ。ということは、今通っている集団塾の授業だけでは、お子さんの国語は思ったような成績になっていないことが、すでに立証されているんですよね。立証されているんです。

なのに、「キジュツバをやりたいけど、塾のカリキュラムや課題があって時間が取れません」という人がいて、これが一番腹が立つパターンなんです。今まで塾の国語の授業でうまくいかなかったわけですよね。だったら、うまくいかなかった方法に引き続き忠誠を誓うのはなぜですか、という話で。

大手塾の国語なんて、漢字と語句の意味だけやって、後の文章題の宿題は出ても無視していいんですよ。その代わり、私のキジュツバに時間を使ってくれたら、2〜3ヶ月で成績が良くなりすぎてやめちゃう人がいるぐらい、効果があるんです。1ヶ月、塾の国語の授業を全部休んでキジュツバを3題やったら偏差値が7〜8上がった例もある。今のやり方でうまくいかないなら、うまくいかないものを捨てて新しいものを取り入れる発想がなぜないんですか、という話なんですよね。


■ 足し算で考えすぎ——何かを得るには何かを捨てる

みなさん、足し算で考えすぎなんですよ。今まで全部完璧にやって、プラスアルファで私の指導もやろうとするからしんどくなるわけで。何かを得ようと思ったら何かを失わないといけない。

私とやるなら私の宿題をやる。その分、今まであった何かを削ればいいんです。国語が一番間に合ってないんだから、得意な教科の勉強時間をちょっと減らすとか、効果が出なかった塾の国語の課題を捨てるとか。塾の先生も、宿題をやってこないぐらいでいちいち怒ったりしませんよ。たぶん、保護者の方が「やらないと不安」という変な生真面目根性を発揮しているだけだと思います。

伸ばしたくて私のところに来ているんだから、私の言うことを最優先に実行して、他のものを代わりに犠牲にする発想に立ちませんか、ということです。これは受験に勝つためのテクニック論として言っているんですが、実はもう一段、もっと根本的な話があって。


■ 小5なのにガンプラを作る時間もない——子供の時間を奪いすぎていないか

弟の家の5年生の甥っ子に、日光東照宮限定のガンプラをあげたんですよ。男の子だから絶対喜ぶと思って。ところが正月に会ったら、箱すら開けてないんです。「なんで作らなかったの?」って聞いたら、「こんなん作る時間ねえ」って。小5がガンプラを作る時間もない。これが、東京の中学受験に物申したくなった話の本丸です。

子供の時間をガチガチに全部管理して、全ての時間を勉強に使うことを平気でやっている感性が、ちょっとどうかなと思っていて。YouTube、漫画、ゲーム——そういうのも一定数は大事なんですよ。それがその子の人格を作るわけですから。漫画から得られる勉強ってめちゃくちゃありますよ。

受験ラストスパートみたいなノリを小5からやっているような人が東京には結構いる。それで受験「だけ」は勝てますよ。でも、5年生・6年生の記憶が塾と模試しかないって、いいんかなと。子供が健全に発達する時間、人としての大事なインプットを作る時間を奪いすぎていると思うんですよね。


■ 受験偏差値を5上げるより、中高6年間の過ごし方が人生を決める

「夜は絶対22時に寝ろ」という話があって、「先生、それじゃ間に合いません」という人がいるらしいんですけど、違うんです。22時までの勉強でできる範囲が、その人の才能の限界なんですよ。それ以上削ったら人としてバランスが崩れて、入学後に起立性障害で不登校になったりする。22時までにできることが、その人のある意味の才能の限界なんだから、それで受かるところに行けばいい。

全ての時間を受験に突っ込んだらどうなるかというと、子供は「こんなにつらい思いをして頑張ったんだから取り戻そう」と言って、中高に入ってから遊ぶに決まっているんですよ。極端な食事制限のダイエットがリバウンドするのと一緒です。

全部の時間を使って開成に行くのと、ある程度好きなことも楽しみながら海城に行くのとでは、私は絶対に海城に行った方がいいと思う。中学受験の偏差値が5変わったところで、その後の中高6年間でどう過ごすかの方が、大学受験の結果にははるかに大きく効いてくるんで。

このぐらいやろうと決めて、でもこのぐらい自由な時間もいると決めて、それでいける学校に行く。受験だけに特化した子を作るのではなく、人として健全に育てておいて、中高6年間の過ごし方をちゃんと考える。そこに意識を向けてほしいというのが、今日の一番伝えたいことです。ガンプラを作る時間ぐらい、与えてやってください。

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