【公民で逆転合格】丸暗記で公民やると地獄を見ます|桜蔭・渋幕・渋渋合格の東大卒塾長が教える②
【第2回】ホッブズ・ロック・ルソーで民主主義の土台を理解する――三権分立はなぜ必要か
前回は、法律の必要性と自然法・自然権という概念をお伝えしました。今回はいよいよ、民主主義の根幹をなす「社会契約説」と「三権分立」に踏み込みます。ホッブズ・ロック・ルソーという3人の思想家の考え方を理解することで、現代の政治の仕組みがなぜこうなっているのかが見えてきます。
社会契約説は「屁理屈」だが、重要な屁理屈
社会契約説とは何か。ひとことで言えば、「王様が偉いのは神様に選ばれたからではなく、国民が権利を委ねたからだ」という考え方です。これは王権神授説への反論として生まれた理論です。現実にそのような契約が結ばれたわけではありませんから、ある意味で「屁理屈」です。しかしこの屁理屈が、民主主義の土台を作りました。
ホッブズ:「ジャイアンだらけの世界」から国家の必要性を説く
最初に登場するのがホッブズです。著書は『リヴァイアサン』。キーワードは「万人の万人に対する闘争」です。
法律も権力もない状態を想像してください。力の強い人間が何でもできる世界です。のび太のものを奪い取るジャイアンを誰も止められない。そんな恐怖の世界にならないために、人間は自分が持っている自然権を国家に委ねましょう、というのがホッブズの主張です。警察に逮捕されることや、場合によっては死刑になることは、自分の権利が制約されることです。しかしそれでも構わない。なぜなら、その制約と引き換えに、ジャイアンから守ってもらえるからです。
ホッブズは王様を支持する側の人物です。「だから国家の言うことを聞きなさい」という結論に至ります。
ロック・ルソー:「ダメな王様には革命していい」
一方、ロックとルソーは王様打倒派です。考え方の基本はホッブズと似ていますが、決定的に違う点があります。「自然権を国家に委ねているのは、国民の幸せのためだ。もし国家がその期待に応えられないなら、自然権を取り戻していい」という主張です。これが「抵抗権」「革命権」です。
この思想がフランス革命とアメリカ独立革命に直接影響を与えました。フランス市民が王様をギロチンにかけたのも、アメリカがイギリス本国に対して独立戦争を起こしたのも、「私たちの自然権を正しく使わなかったから、委ねるのをやめる」という論理に基づいています。形式的には反乱ですが、社会契約説の立場では正当な行為なのです。
ロックは「政府に渡す権限は最低限でいい」という考え方で、警察・軍隊・外交だけを国家に任せる「夜警国家」論を唱えました。また、ルソーは「一般意志」という概念を提唱しました。個人の欲望を超えた、共同体全体の真の利益を「一般意志」と呼び、直接民主制によってそれを実現できると理想を掲げました。ただしこの考え方は、「お前の意見は間違っている、本当の利益はこれだ」と個人の意見を弾圧する危険性も持ち合わせており、フランス革命の過激化や20世紀の全体主義に悪用された面もあります。
三権分立:権力を分けないと裁判で国が必ず勝つ
最後に三権分立です。なぜ権力を分けなければならないのか。答えはシンプルです。同じ人間が立法・行政・司法をすべて握ると、自分に都合の悪い判決が絶対に出ないからです。
国を相手に裁判を起こしても、裁く人間が国の側なら「私は間違っていない」と判断して終わりです。だから、別の機関が独立して判断する仕組みが必要なのです。日本では議院内閣制を採用しており、国会議員の中から総理大臣が選ばれます。多数派を握れば法律をほぼ自由に作れるため、立法と行政の区別が曖昧になりやすい面があります。一方アメリカの大統領制では、大統領は法律を作ることができません。議会に「こんな法律を作ってほしい」とお願いするだけで、立法権は議会が持ちます。この相互牽制の仕組みこそが、権力の暴走を防ぐ民主主義の知恵です。
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